お手軽かんたん水彩画講座 第3回 水彩絵具について
こんにちは、たこくらです。
第1回から水彩画の描き方をご紹介してきました。
モチーフを決めて、それをどうやって描くのかという流れでしたね。
今回からは水彩画に関することを、あらゆる角度からお話をさせて頂ければと思います!
関連する書籍にもあまり載っていないような部分まで、触れていきたいと思いますのでかなり内容的には濃くなる予定です!!
この連載が終わる頃には、1つの専門書が出来上がってしまうかもしれません?!
というわけで今回のテーマは「水彩絵具」です。
水彩絵具をあまり知らない人から、すでに制作でガンガン使っている人まで様々ですが、水彩画の魅力を知る上で、知っておきたい事を中心に紹介させていただきたいと思います。
水彩絵具とは何か?
水彩絵具は基本的には、顔料(色の粉)にアラビアガム(アラビアゴムの木から採った樹脂)を混ぜて作った絵具です。
…顔料?アラビアガム??って何???
詳しいことは今後お話する予定ですが、軽く触れておくだけにしておきます。
ちなみに近年、主流となりつつあるアクリル絵具とは別物です。(アクリル絵具についても機会があれば触れていくつもりです)
水彩絵具はアクリル絵具とは違い耐水性がありません。
つまり、水に濡れると溶けだしてしまいます。
一度塗った色が滲んでしまう難点もありますが、それを逆手にとって意図的に色を滲ませたり、取ったりできるのが水彩の面白さだったりします。
では、もっと詳しく説明させていただきますね。
学校で使ったことのある水彩絵具
皆さんが水彩絵具と聞いて、思い浮かぶのが学生時代のチューブ入りに水彩でしょう。
メーカーは「サクラ」とか「ぺんてる」などが有名ですね。
絵に関心の無い人も、なんとなく知っているはずです。
小学校では、図工の時間でよく使っていましたよね。
色数は12色~24色くらいで描いていたんじゃないかと思います。
しかし、プロの画家や、イラストレーターになると、学生時代に使っていたような水彩絵具はほとんど使いません。
単純にプロだからいい物を使うということではなく、水彩絵具の性質の違いによるものだからです。
水彩絵具の種類
水彩絵具は上記のような種類あります。
透明水彩絵具・不透明水彩絵具などは初めて聞く方もいると思います。
これらの違いについては次回以降に詳しく紹介したいと思いますので、今回はとりあえず軽く触れるだけにしておきます。
そしてこのような区別をされている絵具は専門家用水彩絵具とも呼ばれています。
では先ほどの話にあった図工の時間で使っていた水彩は何かというと、学生用水彩絵具というものです。
専門家向けのものと違い、安価で扱いやすい水彩絵具といった感じです。
専門家用水彩絵具って?
プロ画家やイラストレーターをはじめ、美術を志す人たちに愛用されている水彩絵具です。
色数が多く、まさに描き手の要求を満たしてくれる存在です。
では専門家用水彩絵具の特徴を利点と難点に分けてご紹介します。
専門家用水彩絵具の利点・長所
1.色がキレイ(発色がよい)
2.表現しやすい(様々な水彩画の技法を再現できる)
3.色が褪せにくい(退色しにくい)
…などがあります。
1は何となく想像できる方も多いと思います。
専門家用水彩絵具には、学生用の水彩絵具には無い、たくさんのキレイな色が揃っています。
色数はメーカーにもよりますが、100色を超える事も珍しく無いです。
2はある程度水彩を描いた事がある方なら、分かると思います。
繊細なタッチから、大胆でダイナミックな表現まで可能にする、絵具の秘めた可能性。
クオリティの高い絵具には、描き手の意図に応えるキャパシティーがあります。
つづいて3。
これは絵を描いている人でもあまり知らない特性だったりします。
色が褪せるってどういうことかと言うと、簡単に言えば、色が消えると言うことです。
ではなんで色が消えるのかと言うと、絵具って「光」に弱いからなんです。
「光」は電磁波の一種で、絵具の成分に影響を与えて、化学反応を起こしてしまいます。
その結果、色に変化を及ぼしてしまいます。
ですので、美術館では基本的に照明が弱く設定されています。
なぜなら作品の劣化を最小限にとどめるためです。
皆さんが制作した作品が、もし100年、200年、或いはそれ以上の時間を超えて人の目に触れる機会がある時、せっかく描いたものがくすんでいたら、残念ですよね。
このように、絵具は基本的に光に弱いため、専門家用水彩絵具はできるだけ光に強い成分で構成されています。
専門家用水彩絵具の難点・短所
実は専門家用水彩絵具にも難点があります。
1.比較的高価である。
2.入手できる場所が限られている
3.一部に有毒な成分を含んでいる
1は当然のことながらクオリティーに反映されているので、仕方がありません。
さらに、専門家用水彩絵具の場合、色によって価格設定が異なる場合が多いです。
メーカーによっても価格帯はさまざまですが、学生用水彩絵具が1本100円程度で購入できるのに対して、専門家用だと200円以上、モノによっては1000円以上することもあります。
水彩をこれから始められる人はご予算にあった価格で、基本の色から初めていきましょう。
慣れてきて、もっと表現の幅を広げていきたい時に、その都度必要な色を追加していくのがよいと思います。
2については学生用水彩絵具と違い、画材店でしか入手できないことが多いです。
一般の文房具売り場にはほとんど取り扱いは無いです。
最近では通販でも簡単に入手ができるようになりましたので、近隣で入手できない場合は利用してみるのもよいでしょう。
3はちょっとドキッとするかもしれませんが、一部の絵具には強い毒性のある成分を含んでいます。
学生用水彩絵具は低年齢層の使用が多いため、比較的安全な原料で製造されております。
しかし、専門家用水彩絵具は色合い・表現の幅・退色しにくさに重点を置いて製造されているので、やむを得ず有毒な原料を使うことがあります。
近年は環境への配慮から有毒な絵具の生産を無くしていく流れになってきてはいますが、未だに無くなってはいません。
こういった毒性を持つ絵具は、環境に対する規制・原料の調達など、社会的な要因で今後入手が困難になっていくかもしれません。
専門家用水彩絵具のまとめ
このように専門家用水彩絵具には利点・難点を含めてさまざまな特性を持ち、描き手に表現の幅を与えてくれるものです。
もちろん良い絵を描くためには、技術や感性を磨くことが大切です。
どんなキレイな色でも、それを活かせるかは描き手の腕にかかっています。
とはいえ、やはり絵は楽しく描くのが一番大切だと思います。
キレイな色を使って絵を描くのは本当に気持ちの良いものです。
皆さんがもし水彩に触れる機会があったら、ぜひ自分だけのお気に入りの色を探してみてください。
きっと楽しく絵が描けることでしょう。
最後に
今回は水彩絵具についてお話させていただきました。
初めて聞く言葉があったり、もう既に知っていたりと様々かと思います。
水彩は大変なじみ深い表現手段でありながら、非常に奥の深いものです。
始めやすい手軽さと、多彩な表現が可能な面白さを併せ持った、魅力的な絵画手法です。
次回以降には水彩画の持ち味を存分に生かした「透明水彩絵具」に関するお話ができればと思います。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
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